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熱力学における仕事(しごと)は、 対象とする系と外部との間でやりとりされる力学的なエネルギーである。 系と外部との間でやりとりされるエネルギーには、他に熱がある。 系内外で伝達される仕事と熱は、系の変化経路に依存して値が異なるので、 仕事も熱も保存量(熱力学的状態量)ではない。 ただし、熱 Q と仕事 W の差 は経路に依存せず、内部エネルギーの増加量となる(熱力学第一法則)。 熱力学の対象である系のうち、 一定量の物質を閉じ込めて対象とした閉じた系は、 体積増加により系外へ絶対仕事 W を行う。 一方、物質の出入りを伴う開いた系では、 系に物質を出し入れする仕事 Δ(pV) が別途必要となり、 系は外部に対して W * = W - Δ(pV) の工業仕事を行う。 力学的平衡が保たれた可逆変化の場合は、 これらは次式で表される。 一巡する状態変化(サイクル)では、絶対仕事と工業仕事は互いに等しくなる。 系によっては、体積変化以外に電流(電池)、その他の形で仕事が取り出される場合もある。 このような場合には、体積変化に伴う仕事を膨張仕事、 それ以外の仕事を非膨張仕事と呼んで区別して扱う 〔アトキンス、『物理化学(上)』(2001)、東京化学同人 ISBN 4-8079-0529-5〕。 なお、熱と仕事の符号に関して、従来より熱力学では、 熱機関に合わせて(この記事のように)系に入る熱を正、 系から出る仕事を正としてきたが、 近年の物理化学分野では、仕事の符号を逆にし、 系に加える仕事を正とする書籍も多く見うけられる〔。 == 閉じた系の仕事(絶対仕事) == 図 1 のようなピストン・シリンダー内の一定量の物質(例えば気体)が行う仕事を考える。 ファイル:Work_of_Closed_System.svg|図 1 閉じた系の仕事 ファイル:Absolute_Work_PV.svg|図 2 p-V 線図上の絶対仕事 シリンダーの断面積を S とすると、ピストンに作用する力は pS であり、 気体が膨張してピストンが右方向へ微小距離 dx だけ移動したとき、 気体がピストンに対して行う仕事は次式で表される 〔谷下市松、『工学基礎熱力学』(1971)、裳華房 ISBN 4-7853-6008-9〕 〔岐美格 他、『工業熱力学』(1987)、森北出版 ISBN 4-627-61081-5〕 。 dV はこの間の気体の体積増加量である。 これを積分すると (1) 式となる。 図 2 の p-V 線図上に図示すると、 状態変化を示す曲線12 の下方の面積 A12BA が絶対仕事を表す。 ただし、上の等式が成立するには、 気体がピストンを押す力と外から(クランク等で)ピストンを支える力とが つりあっていること(力学的平衡、可逆変化)が必要であり、 ピストンの動きが速いために隣接する気体の追従が遅れる場合などでは、 この条件が満たされない。 非可逆変化の場合も含めて、次式が成り立つ。 (等号は可逆変化の場合) 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「仕事 (熱力学)」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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